産休・育休中に貰えるお金の話<その②>取得のタイミングで変わる?損しない支給金の受け取り方

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産休・育休中に貰えるお金の話<その①>では、出産一時金・出産手当金・育児休業給付金の制度について説明しました。



今回の記事<その②>では、会社に休業取得の申請をする前に知っておくと支給額を損せずしっかり貰うことができるかもしれない出産手当金・育児休業給付金の仕組みをご紹介します。

自分の会社の制度と照らし合わせて手当金・給付金を計算することで、無駄なく給付を受けられることができます!

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「育児休業給付金は月給の約8割貰える」とはどういうことか?

あめ
あめ

育児休業給付金で給料のだいたい8割賄える、って風の噂で聞いたんだけども、育児休業給付金の賃金日額の掛け率って67%ですよね。

8割ってどゆこと??

育児休業給付金は「もとの給料の8割くらいはカバーできる」という記事をネット等で目にしたことがある方もいらっしゃると思います。でも、給付金額の算出方法は

直近12か月間標準報酬月額の平均額>÷30日×2/3

でした。「8割」とは、一体どこから来ているのでしょうか?

答え:休業中は社会保険料の徴収が免除されるため

産前産後休業中および育児休業中の期間は、会社からの給与はなくなります。
その間は、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」といった社会保険料の徴収が免除となります!

普通に働いていた場合に手元に入ってくるお給料は、上記の社会保険料の他、住民税・所得税といったさまざまな法的控除を受けて残った分が自分の口座に振り込まれますね。しかし、休業中の法的控除は以下のようになります。

  • 社会保険料(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)が免除
  • 会社からの給与がない(=無所得)なので、所得税も発生しない
    ※給付金には所得税はかからない
  • 住民税については納付が必要

このように休業中は各控除により減額される部分が圧倒的に少ないのです。
かつ、出産手当金・育児休業給付金の算出の基となる給与は「手取り」でではなく各控除前の「額面金額」であるということもポイントです。

<具体例>給与の手取りと育児給付金との比較

月額平均額面給与40万の時の「手取り」と「育児休業給付金」の月額比較
  • <手取り>
    40万-6.5万【法的控除(健康保険・厚生年金保険・雇用保険) 】=33.5万
  • <育児休業給付金>
    40万÷30日×67%×30日(1か月分)=26.8万円

    ※控除額は額面に対しておおよその金額を設定。育休時にも共通して控除される項目
     (住民税、個人契約の保険料等)は除いて試算

上記具体例から算出した金額を比較すると、「育児休業給付金は手取りのおよそ8割」となることが分かると思います。

有給と出産手当金、同日数で比較するとどっちが多くもらえるのか?

あめ
あめ

実はあめやみや、産休に入る前に大量の有休を残していた上、業務スケジュール的に規定の産休取得開始日前に有休を消化することができませんでした。

あめ
あめ

「有休って給料発生するし、極力産休じゃなくて有休とったほうが得なのでは…?」

と思っていました。

有休は会社から出ているお給料ですし、やさしさで貰える給付制度に金額面で劣るなんてことはなかろう…と考える方も多いのではないでしょうか。
実際試算してみると、有給を使った方がいいのか、そのまま出産手当金をもらった方がいいのかが分かります!

答え:目安として、残業代が基本給+手当等の1/3以上を占めるのであれば産休として休みを取得する方がお得!

有休取得時は当然残業代はつきませんので、「基本給(+各種手当)」と「出産手当金」を比較をして、どちらが多いかということになります。
何度も登場しているように、出産手当金の計算の基となる給与は「額面」なので、当然残業代が加算された金額との差額になります。

<具体例>有給と出産手当金の日割り比較

月額平均額面給与30万の時、「有休一日あたりの給与」と「一日当たりの出産手当金」の比較
  • <残業代が基本給の1/3以下の場合>…基本給等:22万円+残業代8万
    【有給取得時の一日当たり給与】=22万
    【一日当たりの出産手当金】=30万円×2/3=20万
    …この場合、産休を取るより有休をとったほうが得になります
  • <残業代が基本給の1/3以上の場合>…基本給等:18万円+残業代12万
    【有給取得時の一日当たり給与】=18万
    【一日当たりの出産手当金】=30万円×2/3=20万
    …この場合、素直に産休として休んだ方が得になります

ただ厳密にいえば、会社によって有休一日当たりの給与の計算方法が異なっていたり月額平均額面と出産手当金の算出に使う「標準報酬月額」はイコールではなかったりするので、単純に「残業代の1/3」が分かれ目にはなりません。あくまでも目安の数値になります。

ただ、どちらを取得しようか迷ったときには、この考え方で判断ができるでしょう
残業代が1/3ちょうどぐらい…だとかの微妙なラインの場合は、素直に産休として取得してもよいとあめやみやは思います。実際取得金額の差はごくわずかです。

これは知らないと損!社会保険料等控除が免除となるのはいつからいつまで?

社会保険料が免除となる期間について

上記の具体例で、あれ?と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「休業中じゃなかったら社会保険料その他控除が発生するから、圧倒的に有休が不利では?

そうですね、社会保険料が控除となるのはあくまで休業期間中です。
ただ、今回の比較ケースは「産前休業期間中に育休を取得して、そのまま産休に入っている」という点がポイントです。
実は、出産に絡み社会保険料が免除となる期間の定義は

「産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間

とされており、この期間が有給か・無給かは関係ないのです!

詳しい制度の定義と考え方については、こちらのサイトにわかりやすく記載がありますので参照ください。
複線型キャリア開発空間(仮)

引用元:複線型キャリア開発空間(仮)https://virtual-area.net/?p=376


なので、産休中に有休を取得する分には、社会保険料が余計に引かれて損になると考えなくても良いわけですね。

絶対知っておいた方がいい!社会保険料免除となる月の判断

人によっては、仕事の都合で産前休業取得開始日ちょうどから産休を取ることができないケースもあるかと思います。でも、頑張りすぎたために大きく損をするパターンがあります。

それは、「月を跨いで産前休業期間が設定されている場合」 です

休業期間中は社会保険料免除となるのですが、社会保険料は月毎に徴収されるものです。
その月に免除されるか・されないかは、実は月末の時点で休業しているかどうかで判断されます

例えば、9月29日から産前休業期間が設定されているとすれば、9月30日の時点で休業に入っていれば、9月分の社会保険料は免除されます。

仕事を頑張ってしまって、10月1日から休業に入った場合は9月分の社会保険料は免除されません

かなり大きな金額になるので、これは絶対覚えておいた方がいいですね!
月を跨いで産前休業期間が設定されている場合は、意地でも月末までには休業に入ったほうがよさそうです。

知っておくとちょっとお得?育児休業給付金の算定期間の基準

続いては、育児休業給付金の給付額のちょっとした損得についてです。
育児休業給付金の算出方法は、<その①> 育児休業給付金の算出方法で以下の通りでした。

  • <休業開始時の賃金日額>×支給日数×67%(50%)
  • 【賃金日額】は、育児休業前6か月に支払われた賃金(額面)を180日で割ったもの
     ※ただし、就労日数が11日以下の月を除く
あめ
あめ

休業前6か月が算定の基準になるってことは、
例えばその前の月に体調悪くて有休使ったり早く休みに入ろうとして有休を全投入してしまったら、残業代分額面が減って、必然的に育児休業給付金の支給額減るのでは!?

実は残念なことにその通りなのです。
ただ、育児休業前6か月の期間…の部分に但し書きがついていることにお気づきでしょうか
この部分を意識して、体調の許す範囲で調整できるのであれば支給額が減るのを避けることができます!

就業日数11日以下の月は給付金の算定期間の対象にならない

賃金日額を算定する期間<休業前の6か月>は、1か月間に11日以上就労している月が対象です。

これを利用して、一か月の給料が少なくなりそうな期間の就労を11か月以下とすれば、その月は給付金の算定対象期間から外すことができるのです!

ただし、ここで注意したいことが2点あります。

  1. 「就労した日」は会社によって定義が異なる可能性がある。
  2. 賃金日額を算定する期間の「1か月間」とは、月初め~月終わりのことではない。

1.については、例えば土曜日は法定外休日の扱いとしているので土曜日も含めて11日とするケースや、そうでないケースがあります。
これは会社の就労規則で定めがあるはずなので、規則を確認するか人事部に問い合わせてみましょう。

2.については、次の項で具体例をもって確認していきましょう!

算定対象期間は出産日を起点に一か月で区切られる

賃金日額を算定する期間の「1か月」は、出産日を起点に遡って区切られます
例えば、出産日が11月11日だった場合を考えて以下の表にまとめてみます。

育児給付金の対象期間の区分
出産(予定)日2022/11/11
産前休業期間2022/10/12022/11/11※出産前42日
産後休業期間2023/11/122023/1/6※出産後56日
育児休業期間2023/1/7~※産後休業終了後から
休業以前6か月の該当月対象期間対象月となるか否か
-2022/12/72023/1/6×(休業中)
-2022/11/72022/10/6×(休業中)
1か月目2022/10/72022/9/6〇※就労日数11日以上
2か月目2022/9/72022/8/6
3か月目2022/8/72022/7/6
4か月目2022/7/72022/6/6
5か月目2022/6/72022/5/6
6か月目2022/5/72022/4/6

表のとおり、算定の対象となる「1か月」の期間は「月初め~月終わり」ではなく出産日を起点とし、育児休業開始日から遡った「1か月の区間」となります。

よって、遡って数えた6か月間「2022/4/6~2022/10/7」の間に支払われた給与を180日で割ることになります。

例えばここで、赤文字の部分「2022/9/6~2022/10/7」の間にたくさん有休を取得したために、この間の給与が減ってしまっている…というケースがあるとすると、
この期間の就労日数を11日以下に調整できれば、「2022/9/6~2022/10/7」の期間は賃金日額を算定する期間から外すことができます。

とはいえ、「出産日」がずれれば当然育休期間もずれるので、あまり気にしすぎないこと!

前述のとおり、賃金日額を算定する期間は実際の出産日に左右されます。

なるべく予定日まで、赤ちゃんがお腹の中でしっかり育ってほしいのはやまやまですが、そこは個人差あり。何があるか分かりません!
育児休業取得日は実際の出生日を基準に考えるので、緻密に計算したところでその通りに行くかどうかは分かりません。

あまり気にしないで、知識として知っておく程度に留めておいていただければと思います。

まとめ

<その②>はかなりコアな内容を掘り下げることになりました。
ちょっとしたお得な知識を蓄えていただくことが出来たでしょうか。

とはいえ、妊婦さんは自分と赤ちゃんの体調が最優先です。あまり考えこまず、ご自分の体調と相談しながら休業期間を定めてください。

産休育休の取得の期間が多少なり調整出来るのであれば、この記事の内容で少しでも得をして頂けると幸いです。

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